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耳あか

耳そうじ

耳掃除はためすぎてもやりすぎてもだめ!上手にほどよく耳掃除をしよう!

実は耳垢(耳あか)にも重要な役割があります

耳あかは、もともと鼓膜だった皮膚です。
鼓膜の中心で作られた皮膚がだんだんゆっくりと外へと移動していきますが、その途中に外耳道の出口くらいのところで「耳垢腺」から分泌される汗や脂肪成分とあわさってつくられます。つまり、古くなった皮膚に耳垢腺という組織から分泌された「潤い成分」が混ぜられて耳あかが作られます。
この過程で耳あかは、「year wax」と英語で表現されるように、ロウやワックスのようになって皮膚の表面を保護してくれる働きがあります。
また、さらに酵素が働いて酸性の環境に整えてくれており、もしもバイキンが入ってきたとしても増えていくことのないように抗菌作用を備えています。

触りすぎると炎症のもと

このように耳あかは、外耳(=鼓膜よりも手前のエリア)を保護する働きや、抗菌作用や自浄作用を備えています。そのため、実はしょっちゅう掃除をしてきれいにする必要はありません。また、鼓膜の手前、つまり外耳道の奥の皮膚は、もともと触られるための用途でできておらず、他の場所の皮膚と同じように強いわけではありません。というのも、手足の皮膚は脂肪や筋肉に裏打ちされていますが、一方で耳の奥の皮膚は非常に薄く、裏打ちの組織もなく、すぐ裏は骨になっています。そのため、竹や金属でできた硬い耳かきで強くゴリゴリとこするように耳あかを取りすぎた場合は、外耳道がひどく傷ついて炎症のもととなることがあります。しかも、搔いている最中は気持ちがよいものなのですが、痛みが出てくるのは掃除をして半日ほど経過してからという特徴があります。特に普段から耳掃除を頻繁にしている方の場合、外耳道の産毛がなくなっていたり、表面がつるっとした感じになっており、見た目でわかることが多くあります。外耳道自体の自浄作用の力が落ちてしまっていると、カビが生える(外耳道真菌症)ことも稀ではありません。「風呂上りに耳掃除」が習慣になっているような、毎日掃除をする方もいらっしゃるかと思いますが、毎日するほどまでは必要がありませんので、一度お休みすることをお勧めします。
また、めったに見られるものではありませんが、耳にもがんができます。こちらは外耳道に対する強い慢性的な物理的刺激が原因とされており、つまり、毎日のように何度も耳かきで耳掃除をしていることが原因と考えられます。外耳道がんの原因の大半は慢性的な刺激、つまり、耳掃除のしすぎです。ですので、竹や金属の耳かきでは数週間に一度程度で、耳のかべをゴリゴリしないのであればよいと思いますし、また、綿棒でも同様でしょう。

耳栓のようになるくらいにためすぎない

耳あかの種類にはカサカサしたタイプと、ベトベトした粘っこいタイプがありますが、これは遺伝によるものと考えられています。
しかし、ベトベトしたタイプの耳あかの方では、「ジュク耳」などともいわれる通り、掃除を適切に行わないと外耳道がふさがり安い傾向があります。また、そうでなくても、特に水泳や入浴で耳に水が入った際に、耳あかがふやけて膨らんで外耳道を完全にふさいでしまって、耳栓と同様の状態となってしまう場合があります。この場合なかなかご自身では掃除が難しいので、そういったことを今まで度々経験されているような方は、「普通はあまり掃除しなくてもよい」と記載した先から僭越ではありますが、およそ一~二か月に一回程度の間隔で定期的に受診いただいたほうが適切と思います。また、一般的に、耳あかが多くたまってからでは清掃に時間がかかったり、乾燥タイプの方の場合では硬く固まった耳垢が、取り出すときに周囲にひっかかり外耳道を傷つけることがあったりと、お家で自分で行うには難しい場合があります。そういったことをさけるためには、しっかり貯まる以前に見せて頂ければと思います。

お子様の耳掃除の注意点

①じっとできる ②あかるい場所で ③やりすぎない がポイントです

小さなお子様を保護者の方がお掃除する場合、横のイラストのような姿勢がとれるかどうかという点が重要です。耳鼻科の医院での耳掃除は、嫌がるお子様でもしっかり固定してくれるように手伝ってくれる人間がいるということである程度安全に耳掃除ができているという側面があります。
また、外耳道は、外へまっすぐ伸びているわけではなく、鼓膜から少し斜め後ろへ下がっていくような構造をしています。そのため、耳を引っ張り、やや後方から見上げるような姿勢をとり、しっかり明かりを当てて初めて耳の奥や鼓膜の観察が可能となります。また、耳あかはもともと外側にたまりやすいため、ご家庭でされる場合では、見える範囲での耳あかをとれば十分です。一方、暗いままでは取り切れたかどうかもわからず、実は綿棒で鼓膜に耳あかを押し付けて、結局は耳栓のようにしてしまっていた…ということもありますので、ご家庭での掃除ではそういったところを気にしていただければ幸いですし、ご不安な場合はぜひ当院で清掃処置をさせていただければと思います。

※)大人が自分でされる場合、周囲にペットや小さな子供がいない環境で行うように気を付けてください。突然不意にじゃれて飛びつかれるようなことで耳の奥に耳かきが刺さってしまったという不幸な事故が少数ながら起きて報告されています。鼓膜が破れる程度で軽症で済む場合もあれば、耳の奥まで刺さった場合は「外傷性外リンパ漏」と言って、緊急手術を受けても聴覚を失い、さらにはほぼ永続的なめまいに苦しむといったことが起こる可能性があります。

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