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嗅覚障害

嗅覚障害に効果的…??「においのリハビリ」って?

身近なにおいのするものを嗅いでみよう

嗅覚が低下した方にとって、ある程度まだ嗅覚がある、もしくは病院でアリナミンテストを受けてすぐに匂いがしたような、ある程度改善しそうですね、という見立てでお話があった方に読んでいただければというところですが…、コロナよりも以前から、風邪のあとなどに急激ににおいの感覚が落ちるという現象を起こす人の存在は知られていました。
それには、ステロイドの外用液を使用したり、当帰芍薬散などの漢方、亜鉛の補充が改善に期待できるといった話があったりしました。

最近コロナによる嗅覚味覚障害とともに有名になってきた話としては、匂いをひろう細胞の再生には、匂いの刺激が必要であるといいうことです。そのため、色々と普段から嗅いでいたはずの「匂いがするもの」を、また意識的に嗅ぐようにしていただくと、低下した嗅覚の改善が期待できると言われています。
つまり、嗅覚が低下している方では、ご家庭にある、匂いのするものを意識的にしょっちゅう嗅いでいただくことによって匂いの感覚が復活してくれるのではないかという話があります。

特にお家にある、匂いのするものの代表としては「しょうゆ」「お酒」「チューブにんにく、しょうが」「ごま油」「ケーキを作る際のバニラエッセンス」「ポッカレモン」「お線香」「洗剤・柔軟剤」「香水」などがあると思いますが、お家で意識的に「こういった匂いがきっと以前していたはずだ」というように、そのものが発する匂いを想像しながら、実際に匂いを嗅いでみるということを繰り返して行っていただくと改善が期待される、匂いの感覚が復活していく傾向がみられるという報告があります。

というわけで、匂いの感覚が落ちたような方には、匂いを嗅ぐような訓練・リハビリをして頂きたいということをよくお伝えしています。

嗅ぐのは知ってるにおいにしよう

ただ、ここで、注意点があります。
においは記憶と強い関係があるということがわかっていますが、この訓練の際に「何かよくわからないけどにおいはしているもの」といった、ぼんやりとした感覚で匂いを嗅いでいると、実際に嗅覚が復活した際に「嗅覚錯誤」とか「異臭」といって、しょうゆのにおいを嗅いでも洗剤のような匂いがする、といったように、記憶との結びつき、記憶とのルートが混乱してしまうような形で嗅覚が復活するといったようなお話もあります。

ですので、匂いはするけれど何の匂いかよく思い出せないようなものを嗅いで訓練に使ったり、においはしているように感じるからと、今まで嗅いだことのない香水・アロマで匂いを嗅ぐ訓練をしたり…といった形で匂いのリハビリを行ってしまっていると、本当の匂いと、感じる匂いの間に、おかしなチャンネルが形成され、今までのような形での嗅覚が復活することなく、混乱したままで固定されてしまうそうです。

例えば、本来ならば、物質Aに特有のにおいAが記憶の中で紐づいていたのが、そういった形の訓練をしていると、物質Aを嗅いでもAのにおいがしなくなり、例えばトイレのにおいや焦げ臭いにおいといった、物質Aと関係のない、別のにおいの感覚とつながるようになってしまう…という現象がおこってしまうそうです。
ですので、よく知っている匂い、本当に以前から生活で嗅いでいた匂いを嗅いで、思い出しながら訓練することが大切だそうです。

つまり、明らかにもとから知っている物質を、記憶の中の匂いと意識的に結びつけながら訓練を進めていくことがよいとされています。

実際にきちんとしょうゆの匂いを嗅ぎながら「これはしょうゆで、今嗅いでいる匂いはしょうゆのにおい、今はまわりにしょうゆのにおいがしているぞ」と記憶を呼び覚ますようにしょうゆのにおいにまつわる思い出なども浮かべる、カレー粉ならカレーを思い出しながら、バニラエッセンスならバニラアイスを思い出しながら…匂いを嗅ぐ、ということが大切ということです。

記憶の中にある匂い、これを思い出しながら、ご自身で匂いの訓練を繰り返し行っていただくことが重要ではないでしょうか。

難しいのは、今のところ、嗅覚障害の方に「改善するとしたら、どんな項目に特徴があるのか」というような、これといった指標がないことです。また、これといったことをしていなくても実はお薬や訓練と関係なく治っていくケースもあるものと思われます。

ただ、だからと言って、何もできることをしない、治療をうけないといったことも問題であったりします。なんの治療もしていないで放置した場合、放置した時間が長いほど改善の可能性は低下していくという説があります。

つきましては、においがよくわからないということを軽く見ないで放置せず、嗅覚の低下に気がついたら早い段階で耳鼻咽喉科への受診をお勧め申し上げます。

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