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メニエール病

メニエール病ってどんな病気??

めまいと言えばまずメニエール病と思われる方も多いのですが、結構特徴的な症状があります!

代表的なのが…

  • 持続するめまい
  • 特に片側の低音部だけの聴力低下・耳鳴り
  • 発作の時期は一日中の間でも、症状に波がある
  • ストレス、肉体的・精神的過労、睡眠不足が関与?と思われていても特にこれといった直接的なきっかけがなくても起きることもある
  • 低音部聴力低下だけで、めまいがないタイプ(=蝸牛型メニエール病)というタイプもある
  • 体の動きに関わらず、めまいが数十分から数時間持続する
  • めまい、難聴の発作が、一定の期間をおいて繰り返す
  • 無治療で放置すると、長期間の間にめまい発作・聴力低下を繰り返す
  • 発作のたびに聴力が悪化していき、治療しないと改善しない

…といった特徴が多く揃えば「メニエール病」が考えられます。

つまり、めまい=メニエール病ではありません!

そして、聴力の低下を伴うことがあるかどうかで、めまいの扱いは大きく変わってきます!

また、病気の定義の言葉の中に「繰り返す」という文言があるため、第一回目の発作では診断ができません。

時間経過とともにめまいや聴力低下の発作を繰り返し、他の病気の可能性を除外できてはじめて診断となります。

繰り返しますが、めまい=メニエールではありません!

昔、めまいなら何でもメニエールと言われたような時代もあったようで、「30年前に一度ひどいめまいを起こし、内科の先生にメニエールと言われた」といった場合は、メニエール病でないことがほとんどです。なぜかというと、まず、30年前の同じめまいは今の症状とまず関係はありません。そして一度しかないめまいで「繰り返して」おきていないうえ、さらに内科であればおそらく聴力の低下があったかどうかも評価はおそらくできていない。とりあえずよくわからんからメニエールってことにしておこう…といったような意図が見え隠れする気がします。

メニエール病は、神経の水ぶくれが原因

内耳の内リンパ腔というところに浮腫=不必要な水によるむくみ・水ぶくれができ、聞こえ・傾きの機能が落ちる病気です。

一般的に神経は電気信号を利用して情報をやり取りしています。これが耳の場合では聞こえ・傾きの情報がメインとなります。

その電気信号のやりとりを、人体ではナトリウムイオンやカリウムイオンなどを用いて、細胞膜の内側と外側でイオンのバランスを調整することによって行っています。

メニエール病では、原因はよくわかっていませんが、内リンパ腔に不要な水分がたまり、水ぶくれができ、この働きがうまくいかなくなることにより起きると考えられています。難しい言葉では内リンパ水腫と呼びます。つまり、イオンのバランスの調整がうまくいかなくなり、電気信号のやりとりがうまくいかなくなる…そのことによって神経の働きがさまたげられて、神経の働き=聞こえと傾きの感覚の制御がきちんと機能できなくなると考えられています。

この水ぶくれを高性能のMRIで撮影することで確実な診断が可能になるのですが、今はできる施設が限られていたりします。これから普及していくことが期待されます。

そして、この不要な水分(内リンパ腔のむくみ・水ぶくれ)をとるため、利尿剤=体内の余計な水を強制的に排出させるお薬を中心とした治療が必要となります。

耳鳴とはつきあっていきましょう

ところで、症状を訴えられる方の中には、ご自身の耳鳴について大変丁寧に説明して頂く方もいらっしゃるのですが、この耳鳴の音の性質・大きさで予後や薬が変わることはありません。「キーン」であっても「ザー」であっても、「キーン用の耳鳴の薬」は存在しないのです。耳鳴については、どうしてもメンタル的な側面があり、気になって耳鳴に対して集中してしまう、「意識的に耳鳴を聞いてしまう」ような方が多いように思います。特に静かな環境であれば、耳鳴は自然と聞こえてくる性質があります。耳鳴に集中してその音がどうだと一喜一憂して気にすることより、穏やかな音楽などをかけてみるとよいように思います。ラジオや、YouTubeなどで、川のせせらぎや波打ち際の自然な音の環境音楽などを試してみてはいかがでしょうか。

治療で使用するお薬

利尿薬:「リンパの水ぶくれ」の、余計な水を体外に排出させて神経の働きを復活させることを期待して使用します。浸透圧利尿薬というタイプで、水薬です。このお薬(イソバイド【イソソルビド】)は、味が独特で苦手な方も中にはおられますが、次第に慣れることが多いようです。

ステロイド

一般的に「急性感音難聴」や「突発性難聴」に対し使用されます。働きが落ちた神経を復活させる作用があります。長期に飲むと、太る、骨がもろくなるなどの副作用があるため、耳鼻科では特にダメージが強い時に短期かつ限定的な使用にとどめます。主に発作初期で聴力低下が強い場合に使用します。

ビタミン剤

「メチコバール」「メコバラミン」などの名称です。一般的に末梢神経の損傷に対し広く使用されています。

ATP製剤

「アデホス」の名称です。内耳の血流を改善させる効果が期待されています。

漢方薬

「五苓散」…シナモン味のお薬です。京都人には八ツ橋のようにも感じられるかもしれません。漢方の考え方で「体内のよけいな水をさばく」、といったことが期待されます。二日酔いにも使用することがあります。ストレスが多く神経が過敏なタイプの方には「柴苓湯」といって、五苓散と小柴胡湯を混ぜたタイプを使用することもあります。

抗めまい薬

めまいの強い方に対症療法として処方します。時にのどが乾くように感じる方もいらっしゃるかもしれません。また、緑内障や前立腺肥大をお持ちの方には相性が悪いため、避けたほうがよい場合もあります。

 

…これらすべてをたくさん服用するとよく効くというわけではありませんし、また、すぐに効果がでてくるわけではありません。服用して頂き、数週間経過してから効果が出てくる場合もあります。また残念ながら効果がない場合も低い割合ながらあります。

メニエール病には発作期と間欠期があります。発作期にはしっかりとお薬を使用し、間欠期に漫然と内服を続けないといった、メリハリをつけた内服がよいように個人的には考えています。

また、全部のケースに当てはまるわけではありませんが、やはり睡眠不足、ストレスが引き金となる可能性があります。発作期には無理をせずしっかり休養を取るようにしましょう。

水分摂取が予防になることがあります

腎臓や心臓に問題がなければですが、水を1日1.5~2.0リットル飲むとよいとされています。水分をたくさん摂取すると、体が「いらない水分が体内にたくさんあるぞ!」と感じて、水分を排出しようとする働きを盛んにさせる反応がおこります。これが内リンパ腔の不要な水ぶくれにも作用し、改善につながることが報告されています。

軽く汗をかく程度のジョギングやウォーキングなどの有酸素運動も発作の予防効果が期待できます。間欠期、すなわち発作が起きていない時に飲水とあわせ有酸素運動を継続すると、発作の予防効果が期待できると言われています。

気圧変化に弱い…??

頭痛・めまい持ちの方の中には、雨・台風など気圧の変化に弱い方もおられます。こういう場合には、気圧変化のスマホアプリ(「頭痛ーる」)などで頭痛日記、めまい日記などを記入すると、ご自身のパターンがつかめて予防に効果を期待できる場合があります。「天気が悪くなると頭が痛くなる」ということが、本当にそうなのか、思い込みにすぎないものかということも含めて、客観的な評価ができれば、健康状態をコントロールしていくことに役立つのではないでしょうか。

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