メニュー

鼻出血

大半の鼻出血は怖くない!

誰でも一度は鼻血の経験がおありと思います。そして、大半は押さえていたり、ティッシュを丸めて詰め込んでいたりしたら、気がついたら出なくなっていた、というような経験をお持ちではないでしょうか。つまり、軽症で落ち着いてしまうということが大半です。

ただし、耳鼻科の医者としては、できればティッシュを詰めるのは避けて頂きたいなという気持ちがあります。というのは、ティッシュは粘膜にへばりつきやすく、ティッシュを剥がす時にどうしてもまた傷口からかさぶたを剥ぎ取ってしまう形になり、出血しやすいからです。

また、お子様の鼻血の場合は、概ね、大抵は指が届くところが原因です。しかも、鼻の真ん中のついたて、左右をわける「鼻中隔」というところの内側の前の方になります。こちらはどうしても小さなお子様の場合はほじほじしてしまうことが普通に頻繁にあり、出血もザラにあります。また、かさぶたがつくと、気持ちがわるく気にしてしまい、やはりまた触ってしまうということの繰り返しになります。鼻の粘膜の傷がしっかり治らないうちに上に乗っかったかさぶたをとってしまうので、やはりまた出血を繰り返すということになります。

お勧めの治療法・止血法

大半の出血部位は、指が届くところです。出血は、そもそも血が出ている所を上からしっかり圧迫さえできれば大抵はとまりますので、この写真のように、親指で鼻の横をぐっと押さえましょう。先ほども書いたように、出血の大半は手前の内側ですし、こちらのエリアへ圧迫が効きさえすれば約三分程度で止まってきます。できれば少し顎をひき、もし血が流れるとしても鼻の前から出ていくようにする姿勢をとりましょう。

なぜか昔から首を反らすような姿勢をとれと言う人がいますが、これは明らかな間違いです。血液が後ろに流れ込むと、のどの奥に絡んでえづくかむせるかして苦しいだけではなく、もしものどの奥に塊が流れ込むと、出血が激しい場合にはレバーのような塊ができます。もしこれがそのままもっと奥の気道にへばりつくと刺激になり嘔吐してしまったり、さらにのどぼとけのあたりではまり込むと窒息の原因になったりすることもありえます。

また、圧迫のやり方も、臭い匂いをかがないようにする時の鼻の押さえ方で結構です。

また間違った俗説として、鼻のもう少し上、硬い鼻の骨のところを押さえろという人もいますが、これでは顔を圧迫するだけで、止血の意味は全くありません。

一旦止血が図れれば、それでティッシュを詰める必要もありません。少しでも傷が早く治ればということで、ワセリンなどを塗っていただければと思います。塗る時は、傷口を直接触らないように、再出血をさけるために、鼻の入り口の外側にワセリンの塊を綿棒などで置き、そして先程と同様に少し鼻の横をおさえると、お薬が傷口の表面に移動してくれますので、効果的と思います。

ちなみに、出血している部分の大半は前の方の内側と書きはしましたが、時にとんでもなく勢いよくガンガン出てくる場合があります。

そういった時、鼻の横を押さえても、勢いよくのどの奥から口へ回ってくる、血液が柔らかく固まったような塊が口の中へ落ちてくるようであれば、救急車を呼ばざるを得ません。正直、鼻の内側の前方であれば圧迫が効果的な可能性はありますが、そうでない場合は圧迫が効果的ではない場所で勢いよく出ている可能性が高いと考えます。その場合、ある程度機材が揃った状態で、経験のある耳鼻科医が対応しなければ、止血ができないこともあります。

鼻に止血剤を浸した綿を入れ、出血の勢いをやわらげ、出血部分をしっかり確認して焼灼処置(血管を焼き潰して止血する処置)を行うか、出血部分がわからない場合は軟膏ガーゼである程度全体的に圧迫がかかるようにする以外ないためです。出血部分を確認するためには、手術に準じた内視鏡セットが必要なこともあります。

鼻血もおそろしいもので、レアケースではありますが、動脈が破綻して、しかももともと脳梗塞などの既往がある方で血をサラサラにするお薬をのんでおられた場合など、外来での処置は困難となります。外来の処置中に出血で視野がきちんととれず、出血点がよくわからないままで盲目的に軟膏ガーゼを挿入して、入院頂き安静にして頂いていても、まだなお出血を繰り返したり、貧血が進行したりするような場合には、手術室へ移動し、全身麻酔のもとで止血処置を行わないといけない場合もごく稀ながらあります。というのは、出血が勢いよくある場合の止血処置は苦痛が強く、鼻へ止血剤が浸された綿花を出し入れするだけでめちゃくちゃしんどいのと、また、のどに流れてきた血の塊を飲み込んでしまうと、胃の中の胃酸と反応して胃内で血の塊がより硬くなり、腹部の膨満感が強くなり吐いてしまうなど、とても落ち着いて出血点を探しましょうということができないこともあるからです。

漫画などではよく繰り返す鼻血から重篤な白血病だとか、さらには放射線の影響で鼻血が…といったシーンはありますが、まず、鼻血単独でそういった重病が見つかるというようなことはほぼありません。

もしも、出血のコントロールが破綻していれば、その他にもいろいろな異常が出ているはずです。例えば、簡単にポンと打ちつけたところに、衝撃と不釣り合いなほど腫れる、皮下出血がしょっちゅうできるなど、そういったことができるはずと思います。また、鼻の粘膜が出血するほどの放射線性の障害があれば、我々はおそらく、鼻どころか目も全然見えないとか、そういった大変なことが起きているはずであり、普通に傷が治りさえすれば段々と落ち着くのが普通です。

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME