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補聴器相談

補聴器を考えてみませんか

お年を召した方の聞こえの力が悪くなってくることは、ある程度は仕方がありません。古いスピーカーの音が割れたり歪んだりするように、加齢によって段々と聞こえの神経は傷ついていく上に、交換がききません。また、音の聞き取りの能力が落ちると、単語の意味を拾う言葉の聞き取りの力も落ちてきます。

純音聴力と語音聴力

「聞こえ」は大きくわけて二種類あります。つまり①音を拾う能力(純音聴力)と、②言葉を聞き取る能力(語音聴力)にわかれます。
特に①の純音聴力が落ちると、②の語音聴力もともに落ちてきます。話をしているのはわかっても聞き取れない、意味のある言葉として音を拾うことができないということで大変苦労するということが起きてきます。
(注:①はまた、おおまかに、鼓膜で音を拾う「気導聴力」と拾った音を脳へ伝える「骨導聴力」にわかれます。)

語音聴力が落ちると…?

語音聴力、すなわち言葉を聞き取る能力が落ちてくると、単語の区別のちからが落ちます。つまり、お話を聞いて、それを文章として理解する力が落ちていってしまいます。
「7」であれば「ひち」でも「しち」でも通じますが、それ以外では文字数が同じで響きが共通した単語、イントネーションが似た単語の区別が難しくなってきます。「7時」が「1時」に聞こえてしまうような「聞き違い」が起きます。

単語の聞き分けが難しくなる

苗字では、「浅田/鎌田/阪田/高田/永田/浜田/山田」…このあたりの区別がつかない、全部同じに聞こえてしまうなどの問題が生じます。
「佐藤さん」が「加藤さん」に聞こえてしまうと、話題の中心人物がわからなくなり、「今まで誰の話をしていたんや?」とか、「話の中に突然全然関係のない人出してこんといてや」といったように、会話が噛み合わなくなってしまいます。
また、「ショートケーキ」が「消毒液」に、「握手してください」が「拍手してください」に聞こえたりすると、その人の行動はその場にそぐわない突拍子なものになり、その場の空気が変になってしまいます。

騒音のもとではさらに聞こえが落ちる

周囲がうるさい所ではさらに言葉の聞き取りが悪くなってしまい、喋っている相手の声がかき消されてしまうように感じます。例えば、居酒屋のような周りもうるさい場所では、「他人が喋っているのはわかっても、何を言っているのかわからない」、といったことが起こります。そうなるとうまく会話についていけない、食事中に楽しくおしゃべりできないとなり、家族やお友達とのお食事が楽しくなくなってしまいます。

早口がわからなくなる

語音聴力が落ちると、早口の聞き取りも苦手になります。アナウンサーやニュースキャスターは、聞き取りやすいように発声する技術を身につけて、情報を届けてくれています。一方、それ以外では特にその技術は必要とされません。特に漫才の掛け合いでは間やスピードが肝心ですから、早口にもなります。そのため「テレビでニュースは聞き取れても、漫才やお笑い、トーク番組は何を言っているのかわからない…」と訴えられる方も多くいらっしゃいます。テレビが楽しくなくなってしまいます。

コミュニケーションの障害がおきる

難聴を原因とした「言った」・「聞いてない」の不毛な喧嘩、会話のテンポのずれ、家族の中での不必要な言い合いでは、ご本人にとっては間違っていたことが全くわからず、またそのため間違ったとも思っていません。ところが、周りからはいかにも「認知症が進んできた」「老人特有の失敗」「失敗を認められない頑固な性格」のように映ってしまいます。これが繰り返されるとご本人にとっては、「わかってもらえない」「人と話がうまくできない」という感情から家庭内での孤立につながったり、家族間の人間関係の悪化に発展したりということにもなりかねません。
また、逆に明らかに聞こえてないために適当にごまかす、受け流すという人も出てきますが、よいこととはいいにくいものがあります。

難聴は認知症になりやすい??

今までに述べた通り、難聴が進行していくことを放置すると、ご家族やご友人とコミュニケーションがうまくいかないということになり、人間関係に悪い影響を与えていくと考えられます。つまり、聞こえが悪化した状態では、ご友人、ご家族とのコミュニケーションに行き違いやトラブルが起きやすく、そのまま人間関係の悪化や孤立につながりかねません。
以前から認知症のリスク因子として「社会的に孤立している」ということがあると言われています。ご年配でかつ難聴の方の場合、聞こえの低下による「行き違い」で自尊心を削られて余計なストレスを感じたり、人間関係のトラブルから孤立したりといったことがあれば、心理的にも社会的にも負担が増えて、認知症の発症へとつながりやすいと言えるでしょう。間接的な関係はあると考えられます。

補聴器ってあまりイメージがよくないんだけれど…

以前にかなり高いお金を払って補聴器を作ったけれど全然合わなかったというお話をされる方がいらっしゃいます。実は、補聴器の特性として、高ければ高いほどよく聞こえるというものではありませんし、細かな調整が必要となります。
というのは、もうすでに、脳が耳からの情報が少ない状態にずっと慣れてしまっているため、補聴器を通して加工をされた音が突然ある日ガンガン入ってくると脳がびっくりして疲れてしまうという現象が起きます。このため、まず、補聴器は日にちをかけて最初は優しい音から慣れてもらうようにしていきます。つまり、装着してすぐに楽にやさしく聞こえる、というわけにはいかない、そもそもの機械の性質があるのです。

集音器って?

新聞やテレビの広告で出てくる、「集音器」と呼ばれるものがあります。外観は補聴器と一緒なのですが、2,3万円で購入ができます。
こちらは、必要な音を拾って増幅させたり、不愉快な音をはじいたりしてくれるような機能は
ありませんので、こちらを使用しても「ちゃんと働いてくれないな」となってしまい、「タンスのこやし」になっていたり、「補聴器ってやってもあんまり役に立たない」という噂のもとになっている可能性があります。

当院ではご希望の方に補聴器専門店をご紹介致します。お気軽にご相談ください。

補聴器のご購入をお悩みの方へ…悩んでる時間がもったいない!

家族さんや親しいお友達とのお話でも聞き違いや聞き直しが増えたら、耳鼻科で聴力検査を受けてから家族さんと補聴器専門店へ行くことを強くお勧めします!

最初にまとめ
  • 聞こえには二種類があり、純音聴力と語音聴力にわけられる
  • 音の聞こえの能力が落ちると言葉の聞き取りの能力も落ちる
  • 静かなところやゆっくりしゃべってもらうと言葉の聞き取り能力がある程度復活する
  • 言葉の聞き取り、理解の手助けをしてくれる機械が補聴器
  • 普段喋りなれているはずの家族さんとお話していてもうまくいかないことが増えてきたらそろそろ耳鼻科で聞こえの検査を
  • 必要があれば補聴器をためそう

シニアの方の聞こえが悪くなってくることは、ある意味仕方がありません。加齢によって段々と聞こえの神経は能力が落ちてきます。そうなるともともとの音の聞き取りだけでなく、言葉を拾う聞こえの能力も落ちてきます。

「聞こえ」は大きくわけて二種類あります

つまり①音を拾う能力(純音聴力)と、②言葉を聞き取る能力(語音聴力)にわかれます。(①はまた気導聴力と骨導聴力にわかれます。これについては別記事「難聴の解説」を参照ください)

加齢による難聴は誰にでも起こり得る、つまり「トシをとったら耳が遠くなる」ということですが、まず、音を拾う能力(①)が悪くなります。ある程度①が悪くなると、それに伴って、意味を伴う単語を単語として拾う能力、つまり言葉の聞き取りや認識(②)が難しくなってきます。

具体的にはアカサタナの区別が段々とあいまいになってきてしまい、どの音も同じように聞こえてくるといったことが起こります。アの段なら、アカサタナと発音されれば普通はアカサタナと聞こえるものですが、これが、全部アアアアアと間違って聞こえてしまうように、区別がつかない状態で聞き取られてしまうようになってしまいます。
例えば、数字の「7」の読み方では「ヒチ」でも「シチ」でも大した問題は起きず通じますが、これがひどくなって同じ文字数の母音が共通した単語、イントネーションが似た言葉が全然違う聞き取り方をされるようになってしまうと色々と不具合が生じてきます。

例えば、おなじ響きの音であるために「さとう」が「かとう」、「しばた」が「しまだ」に間違って聞こえてしまう、といったような聞き取りの段階での間違いが起こって来るとしましょう。そうなるとさっきまで話題にのぼっていた、話の中心人物が突然変わったような勘違いが発生して、その結果として話に行き違いがおきてしまいかねません。
「わたしは佐藤さんのこと話してたはずやのに、この人ほんまにわかってくれてはんのやろか」
「さっきまで町内の佐藤さんの話してた人が、今なんで突然全然関係ない他人の話をしてるんや?」
と、こういった勘違いを招くこともあります。

そして、例えばですが、人の名前で混乱すると、話についていけなくなったことが気まずくなってしまってもうそれ以上話に加われなくなったり、結果として家族の中であればいらない喧嘩…「もう誰のこと話してんのか全然わからへんわ」「またさっきまで言うてた話が突然変わったみたいなスカタン言うて」といったような行き違いが増えたりすることもありえます。

極端な話ですが、「山田さんが…」と話かけても「えっ謝花?そんなひとしらんけど?」と返事されるように、話をしようにも進まないといったようなことが実際に起こりえます。
これは実際問題として聞こえに問題なく気楽に暮らしている人間にはなかなかわからないことかもしれません。
ただ、実際にご高齢の方と暮らしておいでの方には実体験としてご納得いただけるのではないかと思います。耳が遠いご老人との会話の最中には、思いもつかないような単語の聞き違いが発生しますし、さらに、飛躍した意味の取り違えが元で意思疎通がうまくいかないということもあり得ます。例えば、カタカナの名前の会社から電話がかかってきたとき、最初に出たのが耳の遠いおばあちゃんで、結局どこからかかってきたのかわからなかった…といったことを多々体験することになります。


また、「テレビのニュースは聞き取れても、漫才やお笑い、トーク番組は何を言っているのかわからない…」といったことや、「居酒屋やショッピングセンターの中のフードコートのような周りのやかましいところでは音が聞き取れても何を言っているのかわからない」といった現象が起きてきます。要するに、「聞きたい音に集中できなくなる」、「早口についていけなくなる」ということです。

アナウンサーの職にある人たちは、聞き取りやすい日本語の話し方の技術を磨く訓練を日々行っていることもあり、たくさんの人に聞き取ってもらいやすい発声の方法で情報を届けてくれています。そのおかげで、語音聴力が低下した人にとってもテレビのニュースは聞き取り易いという特徴があります。しかしながら、テレビに出てくる人みんながみんなアナウンサーではありません。さらにはまわりがうるさいところでは余計に言葉の聞き取りが悪くなってしまい、そのうえ早口で喋られるとわからなくなってしまうということはお年寄りの皆さんが共通して訴えられます。そうなると最近のテレビ番組はずっと字幕がついているので字幕だよりになり、字幕がないような生放送のトーク番組では何が話されているのか全然わからないままとなります。特にニュースはわかっても、漫才やトーク番組は全然わからないと話す方は多数おられます。

結果として「おじいちゃんが一人のときにテレビを爆音で見ている」といった悲しいことが起こります。家族の他の若い方に合わせた設定ではもともとの音が小さくて聞こえないうえ、何をどういうふうに喋っているか意味のある言葉が全く拾うことができないため少しでもましになるようにと音を大きくせざるを得ないのです。

逆に、家を留守にして帰ってきた時に、おじいさんやおばあさんが爆音でテレビをみていた場合、おそらく、「普段から話がわからないまま愛想笑いをしてまわりに合わせて聞こえているようなフリをしている」という可能性についても考えなければならないと思われます。

しかし、こういった語音聴力のよくない方であっても、まわりが静かな場所で、向かい合って目を合わせて、口の形をアピールしながらゆっくりはっきり話せば、お話がうまくいくといったことはよく経験します。そうであっても、そういつもよい条件が整うものではありませんし、さらには昨今の情勢では今後しばらくはマスクをし続けないといけないといった見通しがあります。難聴で困っている人間が、口の動きを視覚によるヒントを通じて理解する」ということについては、これからしばらくは難しいと考えます。

結果的に「喋っているのは聞こえていても、何を言っているのかわからない」とお悩みになる方はご年配の方に多く、結果として「今まで話していたはずの話題についていけない」、「愛想笑いでわかったふりで済ましているけれど結局何も通じていない」、「お互い何かを喋っていても結局通じていない」となり、行き違いがおきてしまいます。まわりに人がいてもお互いに思いが通じない分、余計に孤独を感じてしまう、といった感覚を抱いてしまう方もおられます。

そういう方が補聴器をつけると音の聞こえだけではなく、言葉の聞き取りの能力も改善することが期待できることがあります。コミュニケーションが復活するということは人と人との関係が改善するということにつながり、実は今までいろんな行き違いの原因が聴力が落ちていたとことに起因していたことに気づけていなかっただけだった…と、わかることもあります。

補聴器のよくあるQ&A

補聴器は慣れと練習と調整が必要な機械です!

加齢による難聴のケースでは、実はその方の脳自体も「聞こえない状態」に慣れてしまっています。耳からの情報が少量であった時間が長い状態に慣れていたため、突然多量に流れてくると脳がびっくりして耐えられず早くに疲労してしまうのです。これが「補聴器をつけるとしんどい」という方が多い理由でしょう。

難聴を放置していた時間が長ければ長いほど、補聴器の音に慣れていく時間を必要とするため、総合すると、聞こえに問題を来たした早い段階から、自分にあった使いやすい補聴器に慣れていっていただくということが重要と考えています。

補聴器は、書いて字のごとく「聴こえを補う機械」ですので、つければそれ一発で若い時と同じく元通りのように聞こえだすわけではありません。また、どんな音を拾い、どんな音を弾くか、そして大きすぎる音は頭痛のもとになるなど、不快な刺激になるため、突然の大きな音については入れないように設定する必要があります。そしてこういった調整は、補聴器の機械操作に慣れた人間:「認定補聴器技能者」という資格をもった人間の手によって時間をかけて行う必要があります。

補聴器は最初は違和感を持つ方が多数おられますし、さらには、大きく響く音が続くと苦痛として認識してしまうこともありえます。その音に対する違和感を軽減させるためには、機械調整に長けた人間とのお話合いによって大体数ヶ月かかることがほとんどです。

また、新しい聞こえ方に脳を慣らしていく時間が必要となり、基本的には寝る時間以外はつけ続けることが推奨されます。当然、お年を召した方の補聴器のフィッティングは、何十年もかけて作り上げた脳内の聞こえの回路を突然書き換えるといったような側面がありますので、装着してすぐに聞こえるようになってくる、というわけには参りません。
というのは、もうすでに脳が、長年の耳が悪い状態、耳からの情報が少ないような状態にずっと慣れてしまっているため、ある日突然補聴器を通して加工をされた新しく、ボリュームが大きくて輪郭をしっかりくっきりとつけられた音が突然ガンガン入ってくると脳がびっくりして疲れてしまうという現象が起きます。このため、まず、補聴器の調整を担当する人間は日にちをかけて最初は優しい音から慣れてもらうようにしていきます。

最初からすんなりといく方ははっきり言ってまれですし、また、上に書いたような理由で必要なときだけつけるやり方ではなかなか慣れられないように思われます。大半の方は最初、つける時間を日に日に長くしていくという方法を取ります。理想的には寝る時以外はつけておくべきというところがありますが、つけて不快に思わずにいられるような優しい音量から少なくとも数時間継続してつけておくという、まずは比較的マイルドな段階から始めていき、日に日につけられる時間を伸ばしていって脳に補聴器の音を慣れさせていくような方法を取ることが望ましいと思っています。

注意

精密機械ですので、どうしても衝撃や、水には弱いものとなります。マスクが必要な昨今では、マスクの脱着操作で小さな補聴器をひっかけて飛ばしてしまわないように注意が必要です。床に落として壊したりしてしまうと、修理や交換が困難な場合もあるようです。
また、定期的な電池の交換が必要となってきます。つまり、それなりのランニングコストが必要となります。
さらには、耳の入り口に入れる部分も汗や耳垢で汚れたりするので、定期的なメンテナンスが必要です。

補聴器をつけたら認知症にならない?

聞こえの悪さがあると認知症のリスクが高まると考えられるようになってきました。その関連性は、いくつかのメカニズムを通じて説明が試みられていますが、特にコミュニケーションの減少とストレスの負荷が増えることが大きいのではないでしょうか。

聞こえない状態では、やはり、他人とうまくお話ができない、楽しく健全に関わることができないといったことでコミュニケーションに障害が増えてきます。話が通じない、うまくいかないといったことが多いと、他人とあまり関わりたいという気持ちを持てなくなることが多く、関わり合いがどうしても減少してしまいます。そうなると社会的な孤立が進み、またそのために脳への刺激が減少し、認知機能の低下を促進してしまうと考えられています。

また、お話の間に、音を聞き取るためにずいぶんと集中が強いられることとなります。その集中はストレスとなり、その負荷が多ければ多いほど、認知機能に負担をかけることになると考えられます。そしてそれが長期的に続けば、認知機能の低下につながる可能性が高いと考えられます。

どうしてもお話などで「言った・言わない」といったようなトラブルが起きると、孤立したように感じて不満を貯める、自尊心が削られていってしまう、というような本来不必要な心理的なストレスがたくさんかかるようなことが起きがちになります。
そしてそういったトラブルによるストレスが蓄積していき、結果としてご年配の方にとって認知症の引き金になるということがあるのではないでしょうか。

ちなみに、脳の老化を評価するテストでは、難聴がある人のグループと、ない人のグループで比べると、難聴がある人のグループの方が早く点数が落ちていきましたが、その一方で難聴の人でも補聴器を使用したグループでは、難聴のない人のグループと比べてもはっきりした差が出なかったことから、補聴器を使用することによって、難聴による認知機能の低下する速度を遅くすることができるのではないかという報告があります。そしてこれは、補聴器をつけないと認知症になるぞ!という脅し文句ではことではないということも強調しておきたいと思います。お友達やご家族とのコミュニケーションを丁寧かつ確実に行っていくことにより、心理的に、また社会的にも孤立を防ぎ、そのことを通して認知機能の低下を防いでいく、そしてそれためには補聴器が有効だ、という考え方が適切ではないでしょうか。

補聴器はどのタイプがいい??

補聴器にはいろんな形がありますが、その中の一つに耳の穴に隠れるようなタイプの小さなサイズのものがあります。小さいサイズに機能がたくさん搭載されるようになってきており、これは各企業や研究者の先生がたの努力の賜物なのですが、そうなると、小さいスイッチに慣れることが必要となります。これは補聴器を新しく買ったあとの試練のひとつと言えるでしょう。

例えば、自分の聞こえの力に合わせて、数種類の「うるさいところモード」「普段の生活モード」「テレビ見る時のモード」などのチャンネルを設定しておいて、その環境に合わせてそのチャンネルを変更する場合、そのスイッチが老眼で見えないということが起こることがあります。特に、加齢が進むと、どうしても視力自体も衰えてきます。80才を超えてきたような方がそういったとっても小さなスイッチをピンポイントで正確に押さえられるかどうかという問題が出てきますので、私は個人的にはご高齢から装用するような方では耳穴式、挿耳式というわりと小さなタイプはお勧めしにくいのではないかと考えています。特に、マイナスイメージを持たれたくないということで耳の穴の中に隠れるタイプのものを希望される方もおられますが、そうするとまずお値段が同程度の機能の耳掛け式のものよりは高い目の設定となります。もちろん小さいタイプでは、耳掛け式と比較すると、マスクや眼鏡の耳掛け部分と干渉しないという利点はあると思います。

補聴器を外に見える形でかけていると、どうしても若々しいイメージからはかけ離れてしまいますが、しかし、補聴器をかけているということがわかれば、周りからは「ああこの人は耳が遠い人なんだな」とわかりやすく、大きな声で話しかけてもらいやすいという利点があるかもしれません。

しかし、小さいと小さいなりに目立たない、つまりはどこにいったかわかりにくいし、やはりかえってなくしやすいという欠点があります。もしポケットに入れたまま洗濯などしてしまえば、残念ながら防水機能といったようなものがついているタイプのものはまずありませんので、高額商品の買い直しとなってしまいます。

眼鏡をした状態で確認しなければいけない小さなスイッチが増えるとどうしても操作の難易度があがり負担となります。そのため、それなりに早い段階、中等度の難聴があるくらいから使用して慣れていくというほうが良いという考え方でお伝えしております。

  耳穴式 耳かけ式
操作 しにくい しやすい
マスクと干渉 しない する
外観 目立たない 目立つ
価格 高い 普通
電池交換 難しい 易しい

その集音器、本当に買っても大丈夫…??

補聴器には必要な音を拾って増幅させて、逆にいらない音を弾いてくれる機能が備わっています。この機能を非常に小さな精密機械に積み込むため、補聴器の大半は高額なものとなってしまいます。が、一方、その機能は集音器にはありません。
例えば新聞広告で掲載されているような集音器や大型家電量販店の店頭で販売されているようなお求め易い価格帯(約3万円~5万円台)の機種は、結局購入してもあまり役に立たず、いわゆる「タンスの肥やし」になっていることもよく聞くケースです。

  集音器 補聴器
調整 できない できる時間が必要調整のプロが必要
機能 少ない 多い
価格 安い 高い

確かに、集音器は、ふところへの負担としては軽く、そのためトライしやすいお買い物ではありますが、もともとの聞こえの問題はいろんな場所でいろんな人や場面で起きている複合的なこともあり、そういった数々の問題が数万円で一瞬のうちに解決するかというと、なかなか難しいようです。せっかく買ったけれど、全然うまく使えていないという、いわゆる「たんすの肥やし」になっているということも多々見聞きします。そして、そういったお友達のお話を聞いてしまうと、「補聴器ってやってもあかんらしいで」といった先入観が生まれがちです。

補聴器は片方?両方?片方ならどっち?

補聴器をつけるにあたって、最初から両方の耳に付ける方が言葉の聞き取りなどを含めた全般的な聴覚の改善に対する効果が大きいとされてはいます。ですので、若く活動的な方であったり、また、難聴はあっても外で働く時間が長い方のような、音が聞こえてくる方向も情報として重要だったりするような方の場合は当初から両側の補聴器装用をお勧めする場合もあります。
かといって、比較的高額な補聴器を一度に左右両方ともにつけるということにトライするとなると、やはりそれなりの金額の負担となります。また、調整の時間が左右ともにかかり、苦労する場合もそれなりにあります。
それに比べると現実問題として、懐のお具合と相談した場合、両方一度につけるよりかは片耳の装用の方が負担としては軽いわけですので、まずはどちらか片方の耳につけましょう、となることが圧倒的大多数です。そうなると調整にかかる苦労は両方同時のときよりあまりかからないということにもなります。

片耳だけの装用の場合、どちらにつけるのがよいのでしょうか?

たいていの方は「悪い方につけるんじゃないの?」とお尋ねになりますし、実際、つける方のさじ加減というところはあるのですが…結局、電話でお話するときやものを尋ねて声を聞くときに使う方の「聞き耳」と呼ばれる側か、耳をそばだてる時に使う側の耳がよいと考えます。つまり、自分にとってつけることでより理解力が高まる側の耳、よく使うほうの耳が「聞き耳」という観点にたって考えていただければよいかと思います。
前提条件として、左右差がほとんどなく両方ともによくない方の場合は、どちらでもかまいません。例えば事務仕事をしている方で電話対応をすることが多い方であれば、必然的に左で受話器をとり右手でメモをとることになるでしょうし、そういうことであれば左に補聴器をつけましょうということになります。
ただ、左右の聴力で差が強くある方の場合は、やはり良い方につけていただくのが正解と言えます。悪い方に補聴器をつけていただいても、良い方よりも聴力が上回ることがなければ聞き耳は変わりませんし、今の聴力よりよくなったというメリットが得られないのではつける意味がないということになります。悪い方の耳につけて良い方の耳の聴力に全然近づかないと、つけるだけお金が勿体ないということにもなります。

補聴器がタンスの肥やしになっていませんか

時に、お話をお伺いして、かなり高いお金をはらって以前に補聴器を作ったけれど全然合わなかったというお話をされる方がいらっしゃいます。補聴器の特性として、高ければ高いほどよく聞こえるというものではありませんし、大抵はそういった特徴に応じた調整がうまくいかなかった場合か、それ以前にそもそも調整が必要な機械であるということを売った側のお店の人間が教えてくれなかった、もしくはお店の人間に調整を行う経験も知識もなかったという場合が少ないながらあるようです。

よくよくお話を聞いてみると、最初から両方セットで80万円、売ったら売ったでその後の調整もしてもらえずほとんどほったらかし、といった残念なお話を聞いたことがあります。

もちろん、今はそういった悪質な売り方をしてはいけないという注意喚起がなされてはいます。が、とはいってもそういうお店が絶滅したわけではありませんし、さらには、それが法律で悪い売り方であると禁止されたり罰則が設けられているわけではありません。シニアの方がお一人でお話を進めてしまって、店頭販売ではクーリングオフの対象にもならないという場合もあり得ます。

そもそも調整の必要な機械であったとしても、そのことを教えない、また調整をしないからといって罰則規定があるわけではありませんし、「認定補聴器技能者」の資格がある人間が関わっていなくても売ることが可能です。売った・買ったの関係が普通にあればそれで問題とはなされないわけです。

しかし、そんな売り方をされてしまった補聴器の便利さが伝わるわけもありませんし、さらには買った人がうまく活用できなければ誰の役にも立ちません。

現在の一般的な専門店では、そういった「売ったら売りっぱなし」といったことはまずありませんし、大半の補聴器に関わる人間は、まずは耳鼻科の医師と相談して本当に補聴器が必要な状態かどうかの判断を踏んでからが望ましいという認識が広まっています。そのお店に有料でも無料でもまずは「貸し出し」などの制度で試しに利用してもらい、まずはある程度ご自身の普段の生活の環境で使用頂いて、ある程度の期間を使用しながらの調整を受けていただき、そういった形で「これは便利なものだ」という実感を持って頂いて、納得してからお買い上げ頂くといったような方針を掲げている会社が大半です。

逆に、そういったお話を全然知らず、初めて聞いたというような、お家に実際に補聴器を買ったあと使っていない、またお友達からそういったお話を聞いた、ということでこころあたりがあれば、一度耳鼻科の医者に相談して頂いてもよいかもしれません。

電話にはコツが必要です!

これは耳掛け式の補聴器を使用されている方によくあることなのですが、そのタイプの補聴器では、音を拾う部分は耳の後ろにひっかけた機械の部分に存在しています。ですのでこちらに受話器に当てるように、つまり、少し後ろに移動させて電話を受けるということが必要になります。
受話器を今までの感覚で耳の穴のそばにあてているつもりでも、補聴器が音を拾う部分には電話の相手の声の音があたっていないということが起きてしまいます。そのため、せっかく補聴器をつけていても、電話で全然大きく聞こえないというようなことが起きてしまうことがあります。

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